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富山地方裁判所高岡支部 昭和42年(ワ)2号 判決

主文

原告が被告両名に対し金六一〇万四、五六四円の約束手形金及び金一八万七、〇〇〇円の為替手形金並びにこれらに対する昭和四二年一月八日から支払ずみに至るまで年六分の割合による遅延損害金のいずれも財団債権を有することを確認する。

訴訟費用は被告両名の負担とする。

事実

第一、当事者双方の求める裁判

一、原告

主文同旨の判決

二、被告

「原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。」

旨の判決。

第二、原告の請求原因

一、原告は別紙第一、第二目録記載の各約束手形及び別紙第三目録記載の為替手形を現に所持している。

二、右第一目録記載の各約束手形及び第三目録記載の為替手形はいずれも更生会社株式会社般若鉄工所の事業の経営に関し支払すべく振出された手形であり、右第二目録記載の約束手形もまた右会社の事業の経営に関し支払すべく裏書された手形であつて、いずれも会社更生法上共益債権に属するところ、右会社は破産宣告を受けたのでこれらは財団債権に属する。

三、よつて原告は被告両名に対し金六一〇万四、五六四円の約束手形金及び金一八万七、〇〇〇円の為替手形金並びにこれに対する本訴状送達の翌日である昭和四二年一月八日から支払ずみに至るまで商事法定利率年六分の割合による遅延損害金のいずれも財団債権を有することの確認を求めるため本訴請求に及んだ。

第三、請求原因に対する被告の答弁

原告主張にかかる各手形がいずれも更生会社株式会社般若鉄工所の事業経営に関し支払すべく振出されまたは裏書された手形であること及び右会社が破産宣告を受けたことは認めるが、原告が現に右各手形を所持していることは争う。

第四、被告の抗弁

一、更生会社株式会社般若鉄工所の管財人は野村憲一、河村光男、金森康成の三名であるから右会社振出又は裏書の各手形はいずれも右三名共同の記名捺印により振出され又は裏書されるべきところ、原告主張にかかる各手形はいずれも右野村憲一単独の記名捺印により振出され又は裏書されているので、右各手形の振出又は裏書行為は無効である。

二、仮にそうでないとしても原告は別紙第一目録記載2ないし7、9ないし15の各約束手形を期限後に裏書譲渡を受けて所持しているもので、右各手形の譲渡は指名債権の譲渡の効力しかないところ右譲渡については手形債務者である破産会社株式会社般若鉄工所に対し右譲渡の通知がなされていないので、原告は被告両名に対し有効な手形の譲受債権者となることはできない。

第五、抗弁に対する原告の答弁

一、原告主張の各手形が管財人野村憲一単独の記名捺印により振出し又は裏書されたものであること及び更生会社株式会社般若鉄工所の管財人が野村憲一、河村光男、金森康成の三名であつたことは認める。

二、別紙第一目録記載2ないし7、9ないし15の各約束手形を原告が期限後に裏書譲渡を受けたことは認めるが、右各手形については手形法上の譲渡手続によつているので、原告は被告両名に対し有効な手形の譲受債権者である。

第六、原告の再抗弁

管財人野村憲一は更生会社株式会社般若鉄工所の事業の経営面を担当し、同管財人に対する事務の分掌として手形の振出、裏書を含む事業運営上の常務を担当し、然も河村光男、金森康成の他の管財人の合意のもとにこれを執行して来たもので、それ故、管財人野村憲一単独名義で振出し、裏書された原告主張の各手形は有効である。

第七、再抗弁に対する被告の答弁

管財人野村憲一が右会社の事務分掌として手形の振出、裏書の常務を担当していたことは否認する。

証拠(省略)

別紙

第一目録

約束手形一五通

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

右各約束手形はいずれも支払地及び振出地高岡市、支払場所株式会社北陸銀行高岡支店、振出人更生会社株式会社般若鉄工所管財人 野村憲一

第二目録

約束手形一通

1 金額  三〇万円

2 支払期日  昭和四〇年四月二日

3 振出日  昭和三九年八月三一日

4 振出地及び支払地  東京都中央区

5 支払場所  株式会社協和銀行銀座支店

6 受取人及び第一裏書人  更生会社株式会社般若鉄工所管財人 野村憲一

第三目録

為替手形一通

1 金額  一八万七、〇〇〇円

2 支払期日  昭和四〇年四月三〇日

3 振出日  昭和三九年三月一一日

4 振出地  高岡市

5 支払地  熊本市

6 支払場所  株式会社大和銀行熊本支店

7 支払人及び引受人  米工機械株式会社

8 振出人、受取人及び第一裏書人  更生会社株式会社般若鉄工所管財人 野村憲一

9 引受日  昭和三九年三月一一日

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